【代表の独り言 ‘26-3 冬季五輪と音楽】
史上最多の24個のメダル獲得で大いに盛り上がった冬季五輪、奇
出場者は時代、国境を越えたマエストロ達を選んだ。トップはショ
次にヴァイオリンのサラサーテを推したい。小柄で手が小さいので
3番手はグレン・グールドのピアノだ。練習嫌いで、30歳を過ぎ
最終滑走はもちろん天才かつ努力家のパガニーニだ。彼ほどの才能
ペアの組み合わせには苦労する。一流のソリストは個性が強烈だか
さて競技の結果はどうだったか?本来なら他チーム、例えば画家、
一流のプロはスポーツ選手でも演奏家でも天性の素質が無ければ大
では私のような非才で棺桶まで秒読みの老いぼれは今から何をすべ
要は時間ではなく効果のある練習が必要なのだろう。そのために先
あとがき: 2月が28日しかないことを忘れていた。いつもの月なら28日ご

思わずスケーターズ・ワルツが聞こえてくる絵です。GJ! Gemini
【代表の独り言 ‘26-2 ストレスと向き合う】
退職して以来、ストレスから完全に解放され、24時間を自由に使えるようになった。「小人閑居して不善をなす」(こびとが大挙して白雪姫を助ける話ではなく、しょうじん=くだらない人間はヒマになるとロクなことをしない、という意味)というが、全国の小人を代表する私は閑居していても不善すら思いつかないほど、今が人生で一番幸せと言っても過言ではない時を過ごしている。
今の私を知る人には想像できないかもしれないが、昔は生活費を稼ぐために、まともな会社員をやっていた時期もある。決まった時間に起床する苦痛、満員電車での通勤、仕事をしているふりをする下手な演技、苦手な酒席を努力で乗り越えた結果、逆に依存症と誤解される酒癖。気分転換のつもりで観た阪神戦は負けの連続。不満を漏らすと家族や猫たちから倍返しで反撃を食らう。そんな苦痛の連続だった人生が、退職を契機に一転、ストレスフリーの天国に変わったのだ。
朝は何時に起きても構わないのだが、そう思うとなぜか嬉しくて現役時代より早起きしてしまう。予定があっても自分で決めた予定だし、報酬ももらわないのだから嫌ならいつでもキャンセルできる(相手も同じ立場なので、私がキャンセルされる方が多い)。楽器の練習は昼間から自由にできるのだが、そう思うとなかなか始められないのが不思議だ。
一番ありがたいのは、野球中継を試合開始から観られることだ。関西以外では阪神戦をいつもテレビで中継してくれるわけではないので、DAZNを導入して全試合観られるようにしている。全試合観られるようになってからは、「今日負けても明日勝てばよい」という余裕が生まれ、このゆとりが球団や選手にも伝わっているのだろう。退職後の阪神の成績は優勝2回と絶好調だ。
もちろん収入は年金に頼らざるを得ないので、現役時代よりかなり少ない。しかし、低収入と引き換えに手に入れた自由は何物にも代えがたい。年金も積み立て始めたころは「将来のための貯えで、定年後に返ってくる」と教えられたものだが、いつの間にか政府の誰かの無駄遣いで基金が底をつき、今では「若い世代が退職者を支えている」という誤った考えが横行している。今や年金受給者はお荷物扱いだが、我々は自分たちの積立金だと思って堂々と受け取り、閑居して不善を(ほどほどに)なせばよいのだ。
いくらストレスフリーの自由な生活といっても、好きなことだけしていたら退屈なので、炊事・洗濯・掃除・買い物・猫の世話ぐらいは日課としてこなしている。特に食事は、出てくるのを待つより、自分の好きなものを好きな時に作る方がストレスは少ない。家事一般を一人でこなす実力をつけることは、来るべき熟年離婚対策にもなる。ただし、熟年離婚を考えながら家事をすると、それ自体が大きなストレスになるからやめよう。
ところで、ストレスフリーが心身によいかというと、そうでもないらしい。AIで調べてみると「ホルミシス効果」というものがあり、過度なストレスは有害だが、適度なストレスは細胞の防御力・修復力を高め、健康維持や老化防止に役立つという。それなら家事以外にプラスに働くストレスはないかと考えてみた。
そうだ、私は青葉フィルというオケの代表を務めている。ほかに代表になりたい団員がいないのは、代表職が過度なストレスだと思われているからだろう。しかし実際は、仕事は団員が分担してこなしているので、代表はお飾りでストレスはほとんどない(こう書くと今月で代表をクビになるかもしれない)。もう一つ、月一回このコラムの原稿作成がある。締め切りがあるのはストレスだが、一度も編集者から督促されたことはなく、本人も締め切りの三日前に思い出す程度なので軽度のストレスだ。それより、誰も読んでくれないことの方が大きなストレスである。それ以外のストレスといえば、たまにやってくる屋根の修理を迫る詐欺師の相手だが、ちょうどよい時間つぶしになるので、むしろプラスのストレスだ。
健康維持と老化防止のためには、もう少し質の高いストレスが必要だろうと思い、ヴァイオリン教室に入門することにした。実は6歳のころから8年間先生についていたことがあるが、元来、人に言われるまま行動するのが嫌いなアマノジャクなので、習っていて楽しいと思ったことはない。今回もいつまで続けられるか自信はないが、AIに相談したら「優しい美人の先生につけば上達しようと努力するはずだから、前向きのストレスになる」と背中を押してくれた。老化現象(尿漏れ、徘徊、飲酒後の痴呆状態など)進行防止のため今回は頑張るので、数か月後のオケ練習時の姿を注目して欲しい。おそらく成果が現れているか、破門されているかのどちらかだ。

なるほど。
確かに上達しそうですし、うっかりの破門もありそうです。
編集者のストレス
・月末にちゃんと代表から原稿が届く→辞め時が分からない
・誰が読んでくれているか分からない→辞め時が分からない
・固定電話にかかっている詐欺電話→こちらはそろそろ解約時かな?
【代表の独り言 2026年 新年号】
新年を迎え、今年もそれらしい文章を書こうと苦戦している。普段なら話題は自由で、トランプでも花札でも、阪神でも犯人でも好き放題書いてきた。しかし年が改まった初日くらいは、多少はそれらしい話題を提供したいと悩んでいる。
ちなみに昨年は何を書いたか振り返ってみたら、「オスプレーが庭に落ちたら…」などと意味不明な内容だった。完全に時間の無駄だった。そもそも私は文才がまったくない。それが証拠に、これまで一度も芥川賞、直木賞、ましてやノーベル文学賞を受賞したことがない。毎年そのシーズンになると電話の前で受賞通知を待っているのだが、掛かってくるのは「料金不払いのため電話を止めます」とか、「不要なカメラや宝石を引き取ります」という電話ばかりだ。
ある時、不用品回収の電話がしつこいので「うちに古女房がいるので引き取ってほしい」と言ったら、「うちでは生ものは扱っておりません」との絶妙な切り返しを食らい、思わず「座布団2枚」と叫んでしまったほどだ。
さて、脱線したが年頭らしい話を書きたい。そこで困ったときのAI頼み。生成AIに「音楽家がらみで新年にちなんだエピソードはないか」と相談してみた。世の中には「AIが唯一の友達」とか「恋人」とか言う人もいるが、確かにAIは丁寧に寄り添い、相談者を褒めてくれるので気分は良くなる。叱ったところで靴の中にオシッコしたり、ドアの前にウンチを置いたりしない(両方とも犯人はうちのネコだ)。
もしAIがオシッコしたり、隠しておいたバームクーヘンを勝手に食べたりするようになれば、立派に私の友達になれると思うが、バームクーヘンを食べたのは古女房のほうだった。さらに言えば、生成AIは「代表の独り言」の原稿まで作ってくれる。わずか1〜2秒で仕上がるので楽なのだが、文章があまりに整然としていて、どう見ても私が書いたものとは思えない。批判のしようはないが、でっち上げのネタもないので面白みに欠ける。そんなわけで今回は、AIが提供してくれたネタをもとに、自分の文章で新年号をお届けしたい。
前置きが長くなったが、ここからが本文である。
西欧社会(キリスト教社会)では元旦に特別な意味はなく、クリスマスやイースターを盛大に祝う。そのため、我々が演奏でお付き合いしている音楽家の新年にまつわる特別なエピソードは見つからなかった。酒豪のベートーヴェンでさえ、正月三が日飲み潰れて作曲しなかったという話はない。AIによれば、彼の日課は朝一番にコーヒー豆を60粒数えることらしいので、元日もいつも通り60粒数えていたのだろう。だが、これでは新年のエピソードにはならない。オスプレーが庭に落ちてくる話のほうがまだ刺激的だ。
では今年の演目のブラームスはどうか。彼の日課は散歩だったらしい。交響曲第2番を作曲していた頃は、オーストリア南部のヴェルター湖畔を散歩しながら構想を練っていたという。ということは、この年の正月も散歩していたはずだ。しかしこれも新年の話題にはならない。まだネコが靴にオシッコした話のほうが話題性がある。
もう一人のワグナーは、前回も触れたとおり下戸だったようで、正月もお屠蘇を口にせず作曲に集中していた。そこであの有名なトリスタン和声を生み出したという。これは新年の話題になるか? とんでもない。古女房がこっそりバームクーヘンを食べてしまった話のほうがよほど印象に残る。
つまるところ、音楽家をからめて新年を語るのは無理があったようだ。ここからは普通に、新年にあたり青葉フィル団員のみなさんへのメッセージとして「代表の独り言」をお伝えしたい。これをもとに今年の目標や誓いを立てていただければ幸いである。
1)やりたくないことを目標にしない
禁酒宣言が無理だと思っているなら、「1日三合以上飲まない」ではなく、「1日頑張って三合飲もう」にする。
ダイエットなら「1日1500kcalに抑えて5キロ痩せる」ではなく、「1日必ず1500kcal食べる」とする。
2)自分ができないところは人にやらせる
1日3時間練習して上達したいと思っている人は、自分の練習は1時間に絞り、仲間をおだてて練習させて上達させる。結果的にオケ全体のレベルが上がればありがたい。
3)練習が楽しくない人へ
合奏練習が楽しくないと思っている人は、ぜひ練習後の飲み会に参加してほしい。人生経験豊富な人たちの集まりなので、思わぬ人生のアドバイスをもらえるか、「なんだ、この程度の人たちか」と優越感に浸れる。
頑張って書いてみたが、昨年の新年の誓いよりさらに質が低下している。それでも青葉フィルの新規入団者は増えている。つまり、誰も「代表の独り言」を読んでいないことが明らかだ。団の繁栄のためには、寂しいことだが、このコラムは誰にも読まれてはいけないのだろう。
本年も代表の独り事と編集者の独りよがりをよろしくお願いいたします。(編集者)

↑正月は練習できない事情。これ作るのに半日潰しました(2017年)
↓こちらは10秒(2026年)
